ソフトバンクのヒト型ロボット・ペッパーが、個人向けに発売されました。発売後1分間で、1000台が完売。一台約20万円なので、1分間で約2億円売り上げたことになります。
ソフトバンクは20日、自社開発したヒト型ロボット「ペッパー」について、同日午前10時から専用サイトで予約を受け付けたところ、初回販売分1千台が1分で完売したと発表した。次回の販売は7月以降になる。(2015年6月20日付 日経新聞電子版)
売れるモノは売れるんですね。1分で2億円売り上げるとは、本当に驚き。そう言えば、アメリカ留学時代、ソフトバンクの孫社長は確か時給100ドル稼ぐために、電子辞書を開発したかと記憶しています。(その電子辞書の技術特許はシャープに1億円で売却)やはり、やることがスゴイ人です。
ペッパーのビジネスとしての凄さは、単に単価が高いということだけではありません。月々の通信料が携帯電話と同様掛かるのです。日経新聞によると、
本体価格19万8千円。当初3年間はネット通信料やデータ保管料などに毎月1万4800円、保険料を月9800円それぞれ払う必要がある(価格はすべて税抜き)。(2015年6月21日付 日経新聞朝刊)
のようです。つまり、購入者は今後3年間で
本体約 約20万円
通信料 約53万円
保険料 約35万円
合計 約108万円
掛かることになります。軽自動車を購入するぐらいのコストですね。これが1分間で1000台も売れるのですから、欲しいモノに惜しまずお金を掛ける人はいるのです。結局ソフトバンクは、今後3年間で約10億8000万円の売上を確保したことになります。これが1分間で完了したのですから、凄まじい。
ただし、ソフトバンクの連結売上(リンク先はPDF)からすると、微々たるもの。ペッパービジネスが年平均で約3億6000万円の売上に対し、ソフトバンクの連結売上金額は約8兆7000億円。比率にして、約0.004%に過ぎません。今後、ペッパービジネスが大きくなる可能性は十分ありますが、現在のソフトバンクの事業からすると、誤差の範囲内の金額にすぎないのです。
ペッパービジネスの本当の狙いは、
「ソフトバンク=革新的なサービスを提供する企業」というイメージを広げることで、既存のモバイルサービスの客数を最大化すること
ではないでしょうか。本当は、ペッパーというマスコミ受けする商品を通じて、ソフトバンクの本業である携帯電話・モバイル通信の顧客数を拡大することを目指しているのだと思うのです。
たとえ革新的なヒト型ロボットとしても、今後3年間で100万円超負担することは、誰でもできることではありません。経済的な余裕がある1000人のイノベーターが買っただけのことでしょう。彼らだけを相手にしているだけでは、8兆円もの売上を今後継続して上げることはできません。より大きなマス層への売上拡大を目指して、ペッパーを個人向けに売出し、1分間で1000台を売り切るという離れ業を成し遂げたのだと思います。
このように考えたのは、こちらのアパレル関連のブログ記事を読んでから。企業として拡大するには、一定の売上を確保するためにも、ある程度の物量を売ることは必要なのです。そして、ソフトバンクにとって、その事業はペッパーではなくモバイルなのです。
☆今日のまとめ☆
1分間で1000台完売したペッパーも、ソフトバンクの連結売上にとっては誤差の範囲の売上しか上げられない。
ペッパーの本当の狙いは、本業であるモバイル事業の客数拡大ではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
記事投稿が滞り申し訳ございません。
体調を崩していました。
そして、今もその真っ最中。
まさか風邪がここまでこじれるとは思わなかったです。
40歳を再認識しました。